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【防災かわら版】
阪神・淡路大震災『10の教訓と誤解』-前編《防災かわら版-vol.21》

2008年3月12日

平成7年(1995年)1月17日、午前5時46分頃、兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、阪神地方を中心に非常に広い範囲で大きな揺れを感じました。 この地震により、6千名を超える人命が失われ、住宅、ビル、港湾施設、鉄道、道路、水道、電話、ガス、電力などに大きな被害が生じました。都市機能や社会経済活動のすべての局面が影響を受けたといってよいでしょう。

この阪神・淡路大震災から私たちは多くの教訓を学び、国・自治体はもちろん、多くの企業・団体でも地震対策を再検討することになりました。 阪神・淡路大震災が残した企業・団体の地震対策に関する教訓が千代田区防災ホームページに「10の『教訓と誤解』」としてまとめられており、今回はその前編を紹介いたします。

教訓1 大地震は企業にとって「危機」となった
   大震災によって、多くの企業で施設、設備の破損や社員の被災等、企業活動そのものに関わる大きな被害が発生しました。また、その被害は、被災地だけにとどまらず、日本経済全般に大きな影響を及ぼしました。 従来、大地震が企業経営にこのような大きな影響を与えるものとはあまり認識されていませんでした。しかし阪神・淡路大震災を契機に、大地震は企業経営に大きな影響を与える災害、すなわち企業の“危機”と考えられるようになったといってよいでしょう。その結果、地震対策に、危機管理として重要な対策である事業継続・早期復旧対策と企業全体の地震対策が新たに加わりました。

教訓2 ‘初動対応’マニュアルが必要
   阪神地方の事業所では、消防計画に火災と風水害についての対応策を決めてあるのが一般的でした。地震対策マニュアルをもっている事業所はあまり見当たりませんでした。このために阪神・淡路大震災では特に地震発生直後の混乱の中、少ない社員で何をすべきかがなかなか思い浮かばず、非常に効率の悪い対応をした企業が見られました。 マニュアルなどなくてもそれなりに対応できる、マニュアルがあるとかえって自分達の臨機応変な行動を縛ってしまうから不要である、という考え方があります。しかし、多くの企業に共通的する声は、「‘初動対応’マニュアルは必要だ」というものです。大規模地震が発生した直後には、行うべき事項を規定した手順書が必要だというものです。項目だけでも決めてあると行動の指針となり、初動対応が違ったものになるでしょう。

教訓3 平常時の組織は機能しない
   阪神・淡路大震災は早朝に発生しました。勤務時間外であり、交通機関も寸断されており、社員を非常招集しようとしても極めて難しい状況でした。地震の被害を直接受けた神戸などに本社もしくは生産拠点があった企業では、出社できた社員が思いつくまま自分の職場の被害の確認、整理等を行い、結局、組織だった活動ができなかったところが多かったようです。 このように阪神・淡路大震災では、初動対応において平常時の組織が機能しなかった企業が多く、非常時の組織のあり方、権限委譲、本社が被災した際の対応が今後の課題となりました。

教訓4 社員や事業所間の連絡が取れなかった
 阪神・淡路大震災の際、完璧に使えた通信設備はありませんでした。比較的使用できたと言われる専用回線や携帯電話も、まったく支障がなかったわけではありません。
電話回線の断線や輻輳(ふくそう)により、安否確認などの緊急時対応に不可欠な情報連絡や業務上の連絡等に大きな影響がでました。会社側から何度も電話をかけて連絡をとろうとしたところが多かったようですが、混乱のなかで大変な
労力と時間を要し、対応が遅れた例が見られました。 通信連絡手段の見直しという設備上の対策と安否確認体制の整備などの管理上の対策の双方が求められています。

教訓5 交通機関は途絶する
 阪神高速道路をはじめとする道路交通、JR等の鉄道、神戸港を拠点とする海上交通のいずれもがマヒしてしまいました。その結果、社員の出社が困難となって活動要員の確保に時間がかかりました。また、救援活動に支障があったばかりでなく、物流が遅延し、企業の生産や販売に影響を及ぼしました。
通勤圏域が広い東京では、夜間・休日など企業の勤務時間外に大地震が発生した場合には、活動要員の確保が難しく、また、勤務時間中の場合は、多くの帰宅できない社員がでることが予想されます。交通機関が途絶することを想定して、
地震対策を検討する必要があります。

次号に続く


千代田区防災ホームページ:企業・団体の地震対策ガイド<地震対策は危機管理>
http://www.bousai.city.chiyoda.lg.jp/disaster/info_010510.html