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[番外編] 三井記念美術館

2007年2月14日

前回、日本橋本町の「小津史料館」について書きましたが、小津本館ビルを出て首都高の下をくぐると室町方向に三井タワーがそびえ立っています…という訳で「三井記念美術館」に寄り道しました。「三井記念美術館」は三井タワーの7階にあります。

「小津史料館」が創業350余年に及ぶ小津家の伝来品を収蔵展示しているとすれば、「三井記念美術館」は創業300余年に及ぶ三井家の伝来品を収蔵展示しているといえます。さらに、両家とも伊勢松坂にその端を発する「伊勢商人」です。
しかしながら、スケールが違います。さすがに三井財閥です。私が立ち寄った時は、「特別展~敦煌経と中国仏教美術」というテーマ展を開催中でした。素晴らしい金銅仏もありましたが、この展観の目玉はやはり「敦煌経」34点です。しかも、その「敦煌経」がなんと三井家伝来品なのです。

「敦煌経」は敦煌・莫高窟の蔵経窟で発見された約5万点の経巻です。密閉されたのは11世紀初頭とされますが、1900年中国人道士によって偶然発見された後、世界各地に流出しています。当時の「清帝国」は文化財保護に関して無関心でした。イギリスの探検家スタインが購入した約1万点の敦煌経は現在、大英博物館のコレクションになっていますし、フランスのペリオも6千点程を持ち帰り、フランス国立図書館のコレクションになっています。因みに、日本の大谷探検隊が購入して持ち帰った敦煌経は「大谷コレクション」の散逸によって分散しているようですが龍谷大学等に収蔵されているようです。

この莫大な量の新史料の出現によって「敦煌学」が起こり、井上靖はインスピレーションを刺激されて小説「敦煌」を書きました。発見からまだ間もない昭和3(1928)年、三井北家は極めて質の高い「敦煌経」を購入しています。単なる「お金持ち」ではありません。「お買い物」に関する文化・教養的な水準が高いといえましょう。

しかし、現在の「三井記念美術館」のコレクションの中にあっては、「敦煌経」も突出した存在ではありません。「卯花垣」の志野茶碗を始めとする国宝6点、重要文化財21点を含む「三井家伝来品」は非常に重厚なコレクションです。

余談ですが、この美術館の展示室1とそれに続く展示室2は、かつての財閥本社(三井合名)の役員専用食堂だったとのことです。…という訳でここに立って、展示品を取り去って代わりにダイニングテーブルを置いた情景を想像すると…なるほど「旧三井財閥」といった感じがします。